Vol.35 「マイ・ビッグファット・ウェディング」

全米映画史上に出現したビッグファット現象!

マイ・ビッグファット・ウェディング2002年のアメリカ映画最大のサプライズは、何と言っても本作「マイ・ビッグファット・ウェディング」だろう。
500万ドルの超低予算で製作され、全米の一部の都市で公開。そんな地味な本作が、瞬く間に世間の「独身女性」の共感と感動を呼び、それが口コミとなって全米を横断。最終的には2000館以上の拡大公開にまで発展し、興行収入2億ドルの大ヒットとなった。スタジオ側は主演のニア・ヴァルダロスより、有名な女優の出演を希望したが、製作であるリタ・ウィルソンがそれに猛反対。夫、トム・ハンクスの強力なバックアップもあり、ニア主演のままで押し通したという話もある。かえってそれがリアリティを呼び、ヒットにつながったのかもしれない。本作主演の時は実に41歳、決して美人とは言えない彼女が観客を笑わせ、泣かせ、ヒヤヒヤさせ、映画のヒットがスターパワーではないことを証明してみせた。
どこの家庭にもあるしきたりや、小さな決まり事など、他人から見たらチンプンカンプンで、訳分からない事ばかりだと思うが、その辺のドタバタ感が妙にリアルで、「こんな家族いるいる!」と、スクリーンに引きずり込まれるような映画に仕上がっている。
一筋縄ではいかない父親、娘思いの優しい母親に、少々優柔不断な弟、やかましい親戚。日本の結婚時にも起こり得る騒がしい一面や、結婚する当事者2人ではなくて、家族が自分が結婚するかのような喜怒哀楽が何とも面白い。結婚する気がある人もない人も、本作を見た後は「結婚ってのもいいかも・・・・」と、多少なりとも考えてしまうハズである。


STORY
こんなの、私が望んだ人生じゃない!

トム・ハンクス&リタ・ウィルソン子供時代からドン臭い眼鏡をかけ、何もエキサイティングな事が起こらないまま、30歳になってもただ両親が経営するギリシャ料理店のウェイトレスをしているだけのトゥーラ・ポルトカロス(ニア・ヴァルダロス)は、ある時、「自分の人生を変えられるのは自分自身だけ!」と気づく。ギリシャ人の彼女は、「ギリシャ人はギリシャ人としか結婚してはならぬ」と考える両親、そして、親戚の人々の心配の種だったが、そんな周囲に声よりも、彼女を目覚めさせてくれたのは、レストランにやって来た背の高いハンサムな男。もちろん彼と再会できるチャンスなんて、望むべくもないけれど、取りあえずやってやろうじゃないの、とトゥーラの大変身が始まる。大学でコンピュータの講習を受けると同時に、眼鏡はコンタクトレンズに変え、ダイエットして、ファッションも髪型も一変。そして叔母(アンドレア・マーティン)の経営する旅行代理店に就職したのだ。

マイ・ビッグファット・ウェディングそんなトゥーラの努力をギリシャの神々は見逃すわけがなかった。レストランにやって来た時はトゥーラの事など目にも留めなかった例のハンサム、イアン(ジョン・コーベット)が、今度は自分の方から彼女を意識してくれたのだ。案の定、最初は凍りついたポルトカロス家の人々。だが、根っから陽気で気のいい彼らが望むのは、可愛いトゥーラの幸福だけ。あとは花婿さんと彼の家庭にちょっと歩み寄ってもらえばいいさ、と、静かで知的な生活を営んできたイアンの両親が事の展開に目を白黒させるのをよそに、イアンにはギリシャ正教会で洗礼を受けさせるわ、きついウーゾを飲ませて「その男ゾルバ」顔負けのギリシャの踊りの輪に誘い込むわ。

そして迎えた結婚式の当日。淡い青灰色のリムジンに氷の彫刻2個、青淡色のドレスを9人のブライズメイドに、プラスティックの会談、そしてシャンパンの噴水付き5層ケーキ、そして何よりお祝い事が大好きな親戚連中は、トゥーラとイアンの2人をちゃんと主役扱いしてくれるのだろうか・・・・。


文 : 羽富敏彦


「マイ・ビッグファット・ウェディング」

監督 ジョエル・ズウィック
製作 トム・ハンクス&リタ・ウィルソン
出演 ニア・ヴァルダロス、ジョン・コーペット、マイケル・コンスタンティン、レイニー・カザン ほか

2003年7月19日(土)
丸の内プラゼールほか全国松竹・東急系にて公開


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